「うちの子、発達がゆっくりな気がする。」
「調べたら発達障害って出てきたけど、本当にそうなの?」
「発達特性と発達障害って、どう違うの?」
子どもの姿や行動に戸惑いながらも、相談できる相手がいなくて、不安な気持ちを抱えたまま子育てを頑張っているママやパパは少なくありません。
「このままで大丈夫かな…」と先の見えない不安を感じる日もあるかもしれません。
しかし、子ども一人ひとりの特性に合わせて関わり方を工夫したり、環境を少し整えたりすることで、困りごとがグッと小さくなることがあります。
この記事では、療育センターで保育士として働いていた私が、発達特性と発達障害の違いや、具体的な関わり方のヒントを事例を交えてわかりやすく紹介します。
ママ・パパの不安が、ほんの少しでも軽くなるきっかけになれば嬉しいです。
※最近では「発達障害」に代わり、「神経発達症」と呼ばれることが医学的に増えています。しかし、この記事ではわかりやすさを優先し、「発達障害」と表現を統一しています。


2人の子どもを育てながら、ブログ運営やWebライターとして活動しています。
出産前は保育士として、療育センター・児童養護施設・保育園で、子どもたちと日々深く関わってきました。
現在は「ママから子どもに伝えるおうち性教育」をテーマに、ブログで情報を発信中です。
育児を頑張っているママたちの不安や悩みに寄り添い、心がふっと軽くなるような発信を心がけています
発達特性と発達障害は「困りごと」が日常生活に影響するかどうかが大きな違い
「発達特性」と「発達障害」はよく似た言葉に思われがちですが、意味や使われ方には違いがあります。
発達特性とは、「生まれつきの脳の発達の傾向や個性」のことを指します。
誰もが多かれ少なかれ持っている”その人らしさ”とも言えるもので、障害ではなく個性のひとつです。
〈発達特性の例〉
- 初めての人や場所が苦手/好奇心旺盛ですぐに打ち解ける
- こだわりが強い
- 同じ作業の繰り返しが得意/飽きやすい
- 音や光に敏感/鈍感
発達特性は人それぞれ異なり、得意・不得意のあらわれ方にも個人差があります。
発達特性が強く現れ、日常生活や社会生活に困難や支障をきたしている状態を「発達障害」と呼びます。
発達障害は、医師による診断がつくのが発達特性との大きな違いです。
発達特性と発達障害のあいだに、はっきりとした線引きはありません。
同じ特性でも環境や状況によって、「困りごと」や「生きづらさ」の大きさは変わります。
「発達障害かどうか」よりも、”今、本人や周囲がどんなことに困っているか”に目を向けることが大切です。
よくある発達特性・発達障害の誤解
発達特性や発達障害については、いまだに多くの誤解や思い込みが見られます。
ここでは、療育や子育ての現場でもよく耳にする誤解と、正しい理解についてお伝えします。
育て方が悪いから?|親のせいではありません
「うちの子、なんだか他の子と違うかも…」
「私の育て方が悪かったのかな…」
そう感じて、自分を責めてしまうママやパパに、これまで何度も出会ってきました。
しかし近年の研究では、発達障害は生まれつきの脳の働き方の違いによって起こるものであり、育て方やしつけが直接的な原因ではないことが明らかになっています。(参考:九州産業大学紀要 論文PDF)
療育の現場では、その子に合った関わり方を見つけることで「困りごと」が落ち着き、できることが増えていく姿を何度も目にしてきました。
「うちの子は育てにくい」ではなく、「この子に合った伝え方や環境があるんだ」と考えることが、子どもとのやりとりに少しゆとりが生まれる第一歩になります。
遺伝だからどうにもならない?|支援で子どもの力は伸びます
発達障害には、遺伝的な傾向があることが分かってきていますが、「必ず遺伝する」わけではありません。
明確な原因はまだ解明されておらず、遺伝はあくまでひとつの要素とされています。
発達に特性がある子どもたちは、苦手なことがある一方で、得意なことや強みも必ずもっています。
その子に合った関わり方や環境作り、必要な支援を受けることで、子どもの力は伸びていきます。
そのうち自然に治る?|“今”の困りごとに寄り添うことが大切
「まだ小さいから、そのうち落ち着くよ」
「成長すれば自然とできるようになるから大丈夫」
子どもの様子に不安を感じている時に、こんな言葉をかけられたことのあるママやパパも多いのではないでしょうか。
もちろん、発達には個人差があり、「ゆっくりだけど自然に伸びていく」子どももたくさんいます。
しかし、発達特性による困りごとは、時間が経っても本人の努力ではどうにもならないことがあるのも事実です。
特性は子どもや親の努力不足ではなく、脳の働き方の違いによるもの。
その特性に気づかず、「なんでできないの?」「ちゃんとしなさい!」と責め続けてしまうと、自己肯定感が下がり、不安・うつ・自傷といった二次障害につながる可能性もあります。
私が療育施設で関わったお子さんの中に、「次々と興味が移ってしまい集中できない」「お友達に関心がない」といった理由で療育につながった子がいました。
その子には、限られた種類のおもちゃを置いた環境を用意したところ、少しずつひとつの遊びに集中できるように。
さらに、他の子と空間の共有やおもちゃの共有が自然とできるようになり、お友達との関わり方にも変化が見られるようになりました。

子どもの成長を見守ることはとても大切ですが、「今、困っていること」に目を向けて、子どもに合った関わり方を少しずつ試していくことで、子ども自身も、ママやパパも、毎日が過ごしやすくなることがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)の特徴と関わり方
自閉スペクトラム症(ASD)は、人との関わり方やこだわりの強さ、感覚の受け取り方に特徴が見られる発達の特性です。
特性の表れ方や程度はさまざまで、一人ひとり違います。
とても得意なことがある一方で、日常生活の中で苦手なこともあり、「どう関わったらいいかわからない…」と悩んでいるママやパパは多いです。
ASDの特性を知り、その子に合った関わり方を工夫することで、子どもは安心し、少しずつ力を伸ばしていくことができます。
こだわりが強い|予定やルールは「見える化」して安心を
ASDのある子どもは、特定の物事やルールに強いこだわりがある傾向があります。
- 食事の順番がいつもと違うと怒る
- 予定が変わると癇癪を起こす
- おもちゃの置き方が変わると泣く
これらはわがままではなく「見通しが立たないこと」への不安からくる反応です。
そんな時は、「次に何をするのか」「どうすればいいのか」を見える形で伝えると安心しやすくなります。
- 予定の変更は、事前にカレンダーや写真で説明する
- 「これが終わったらこれ」と順番を明確にする
- イラストや写真を使い、行動の流れを示す
視覚的にわかりやすいものを使って伝えることで、見通しがもちやすくなり、不安の軽減に繋がることが多いです。
私が療育施設で関わったお子さんの中に、日課の順番が変わったことで不安になって泣き出してしまった子がいました。
いつもは「おもちゃ遊び→活動」の流れでしたが、ある日、先に製作活動を行ったところ、混乱してしまったのです。
そこで、おもちゃを見せながら「これを作り終わったら遊べるよ」と伝えると、すぐに落ち着き、楽しそうに製作に取り組んでくれました。
先の見通しを伝えることが、子どもにとって大きな安心につながると感じた出来事でした。

コミュニケーションが苦手|言葉だけでなく視覚や動作も使って伝える
ASDのある子どもは、コミュニケーションをとることが難しいことがあります。
冗談やあいまいな表現が伝わりにくかったり、相手の表情や気持ちを読み取るのが苦手だったりします。
- 名前を呼ばれても反応が薄い
- 会話のキャッチボールが難しく、一方的に話し続ける
- 指示が伝わっていないように感じる
このような場合は、視覚的・身体的な伝え方を取り入れるのがおすすめです。
- 写真やイラストを使って説明する
- 実物を見せながら話す
- 身振り手振りも使って伝える
たとえば、片付けを促したい時は声掛けだけでなく、「箱に車を入れて片付けよう」と実際に車を片付けて見せることで、子どもは行動に移しやすくなります。
その子に合わせた工夫をすることで、伝わりやすくなり、コミュニケーションや行動につながります。
感覚が過敏・鈍感|刺激を調整し、過ごしやすい環境を整える
ASDのある子どもには、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の過敏さや鈍感さがみられることがあります。
- 小さな音でも耳をふさぐ
- 砂や芝生に裸足で立てない
- やけどをしても気づかない
- 洋服のタグや肌触りが気になって着られない
感覚の違いは、周囲にはわかりにくいため、「わがまま」「大げさ」と誤解されがちですが、子どもにとっては大きな困りごとです。
過敏さや鈍感さをなくすことを考えるよりも、子どもの感覚に合わせた環境調整をすることが大切です。
- 耳栓やイヤホン、サングラスなどで刺激を軽減する
- やけどの危険性があるものをそばに置かない・大人がその場を離れない
- タグや素材に配慮した服を選ぶ

療育現場でプール遊びの時間に、外に出るのを嫌がって泣いているお子さんがいました。
その子は水遊びが大好きで、普段は自らプールに飛び込んでいくほど。しかし突然の拒否反応に、ママも戸惑っている様子でした。
プールに入りたい気持ちはある様子だったので、大人が抱っこして一緒にプールへ入ってみたところ…夢中で水遊びを楽しみ始めました。
実はその子が拒否していたのは、テラスに敷いてあった人工芝の感触でした。
足の裏に触れる感覚がどうしても苦手だったようです。
最初は人工芝の上に立つことすら嫌がっていましたが、プール遊びを何度か繰り返すうちに、数歩であれば人工芝の上を歩けるようになりました。
大好きな水遊びの“楽しみ”があったからこそ、苦手な感覚に対する意識が薄れ、少し慣れたのかもしれません。
注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴と関わり方
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、「不注意」「多動性」「衝動性」などの特徴が見られる発達の特性です。
一見、「落ち着きがない」「わがまま」「聞いていない」と見える行動も、実は本人の意志とは関係なく、脳の働き方によって”うまくできない”場合が多いです。
特性の表れ方や程度はさまざまで、一人ひとり違います。
集中が続かない|短時間で区切りながら取り組める工夫を
ADHDのある子どもは、ひとつのことに集中するのが苦手な傾向があります。
「すぐに飽きてしまう」「注意があちこちに逸れる」といった様子が見られることもありますが、本人の意志ではなく、脳の機能の特性によりコントロールをすることができないことがほとんどです。
そんな時は、活動を短い時間に区切って取り組む工夫が効果的です。
- やることを5〜10分ごとに区切る
- 小さな目標をいくつか作って、”できた!”という達成感を増やす
- 体を動かす活動と、座って取り組む活動を交互に行う
療育の現場でも、ADHDのあるお子さんが多いグループでは、基本3つに区切っている活動時間を5〜6つに区切って活動をしていました。
ひとつの活動の時間が短くなったことで、離席や集中が途切れることがぐんと減った子もいました。
「集中できない」ことを叱るのではなく、集中しやすい工夫をしてあげることが大切です。
じっとしていられない|体を動かせる時間や空間をあえて取り入れる
「イスに座っていられない」「すぐに立ったり歩き回ってしまう」
これはADHDのある子どもにはよくある特徴のひとつです。
無理にじっとさせようとするのではなく、動ける場所や時間をあらかじめ作っておくことで、活動がスムーズに進むことも多いです。
- 活動の前に体を動かす時間を作る
- 家の中にトランポリンやクッションで”動いていい場所”を作る
「動いてしまう」ことを減らそうとするより、「動いてもいい時間と場所を作る」ことが、安心感と集中力の両立につながります。
療育の現場で、イスに座っていることが苦手なお子さんがいました。
ある日、活動中に立ち上がろうとしていたので、その子の手を握り上下に腕を動かしてみました。すると、イスから立ち上がることなく再び活動に向かうことができたのです。
走ったりジャンプをしたりするだけでなく、イスに座ったまま体の一部を動かすことで、動きたい衝動が落ち着くこともあります。
思いつきで行動してしまう|「やっていいこと」を具体的に示すと理解しやすい
ADHDのある子どもには、「思いついたことをすぐ行動にうつしてしまう」「止まって考えるのが難しい」といった衝動性がみられることがあります。
危ない行動やルール違反にみえることも、「いけないこと」「危ないこと」だとわかっていないだけの場合も多いです。
そんな時は、「してもいいこと・ダメなこと」を具体的な言葉や、視覚的に示すことで理解しやすくなります。
- 「静かにして」ではなく、「声を小さくしてね」と具体的な行動を示す
- 「順番だよ」ではなく、「〇〇ちゃんの次に□□ちゃんだよ」と順番を明確に伝える
- 視覚的なサポート(写真・イラスト・色分けなど)を使う
療育の現場でもイスに座ることが苦手なお子さんはたくさんいます。
そんな時に、イスに個人のマークを貼って「誰が座るイスか」を明確にしたり、実際にイスを目の前に持っていって「イスに座るよ」と声をかけることで、座ることができるようになることはよくある出来事です。

学習症(LD)の特徴と関わり方
学習症(LD)は、知的な発達に遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」など特定の学習分野で著しい困難がみられる状態を指します。
「なぜできないの?」と周囲が戸惑ってしまうこともありますが、学習症は努力不足ではなく、脳の情報処理の特性や機能障害が関係していると考えられています。
学習方法や伝え方を工夫することで、子どもの理解や自信を大きく伸ばすことができます。
文字が読めない・書けない|視覚支援やタブレットなどを活用して「読み書き以外」で理解する
学習症のある子どもの中には、文字の読み書きが極端に苦手なケースもあります。
文章を飛ばして読んだり、文字の形が不安定だったりすることで、「ふざけている」「やる気がない」と誤解されてしまうことも。
しかし、文字を読んだり書いたりすることが苦手なだけで、言葉での説明をよく理解していたり、耳からの情報処理が得意だったりすることも多いです。
「読み書き」にこだわるのではなく、タブレットや音声教材などを活用して、その子に合った”理解の方法”を取り入れることが効果的です。
- 音声読み上げ機能を使って、文章を聞いて理解する
- タブレットを使って、指で直接なぞったり、拡大表示を利用して文字の練習をする
- 黒板の内容をタブレットやカメラで撮影し、後から自分のペースで書き写したり復習をしたりする

「読み書きができない」=「理解ができない」ではありません。
その子に合った学び方を見つけることで、理解力や意欲が高まることがあります。
数の概念がつかみにくい|「見える」「動かせる」教材で理解を深める
「数字は読めるけど意味が理解できない」
「計算や暗算が苦手で、計算手順を覚えられない」
このように、数の概念や、数字の規則性を理解することが難しい子どももいます。
文章題や時計の読み方など、抽象的な概念を必要とする場面では、より理解が困難になることも。
そんな時は、視覚的・具体的に学ぶことができる教材を取り入れることで、その子の理解が深まることがあります。
- 積み木やブロックを使い、「見て触れて数えて」理解していく
- 時計の針を実際に動かして学ぶ
- 買い物ごっこで、数の大小や、計算、グループ分けなどを理解する など
苦手なことを責められやすい|できたことを見つけて自信を育てる関わりを
学習症のある子どもは、読み書きや計算などでつまずきやすく、「どうしてできないの?」と責められたり、注意される経験が積み重なりがちです。
できないことばかりに目を向けられていると、だんだんと自信をなくし、学ぶことそのものを嫌いになってしまうこともあります。
「できないこと」ではなく「できたこと」「頑張ったこと」に目を向ける関わり方が大切です。
子どもは、「わかってもらえた」「がんばった自分を見てもらえた」と感じることで、少しずつチャレンジする力が育っていきます。
子どもの特性との向き合い方
特性のある子どもと向き合う毎日は、思っている以上にエネルギーを使います。
「歯ブラシを変えただけで泣き出す」
「ご飯の味付けが違うと食べない」
「人が集まる場所で癇癪を起こす」
一つひとつは些細なことのようでも、積み重なると「どうしてうちの子だけ?」「自分の育て方がいけないのかな」と不安を抱え、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
ここでは、特性のある子どもと向き合う時に、大切にしたいことをお伝えします。
ほかの子と違う…と感じたときの戸惑いと向き合い方
子育てをしていると、「うちの子、ほかの子と違うかも…」と感じて戸惑ったり、不安になったりすることは珍しくありません。
時には、「私の育て方が悪いのかも」「私の頑張りが足りないのかも」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
発達障害の有無にかかわらず、子どもの成長のペースは一人ひとり違い、誰でも
その子にしかない良さや得意なことがあります。
しかし頭ではわかっていても、心がついていかない。
そんなふうに感じているママやパパも、たくさんいるのではないでしょうか。
比べてしまう気持ちも、認めたくない気持ちも、どれも自然なこと。
そんな自分を否定せず、専門機関や周りの人の力を借りながら、その子にとって過ごしやすい環境や関わり方を見つけていきましょう。
子どもの将来が見えない不安と「今できること」
子どもの発達が気にかかったり、支援が必要だと感じた時「これからどうなるんだろう」「学校でやっていけるかな」と不安を感じるのは自然なことです。
将来のことを考え始めると見えないことばかりで、
「何をしたらいいのか」「あれもこれもやらなくちゃ」と困惑してしまうこともあるかもしれません。
先の未来を一度に考える必要はありません。
まずは、「今できること」に目を向けてみることが大切です。
- 子どもが過ごしやすいように環境を整える
- 声掛けや関わりに少しだけ工夫を加えてみる
- 気になることを誰かに相談してみる
一つひとつはほんの小さなことかもしれません。
しかし、小さな変化が子どもの大きな成長に繋がる一歩になることもあります。
「今できることを少しずつ」それが積み重なることが、未来への力になっていきます。
自分を責めないために|ママ・パパの心のケアも大切に
子どもと向き合うためには、体力も精神力も必要です。
子育てはこれからも長く続いていくからこそ、ママやパパ自身の心のケアもとても大切です。
- 一人で抱え込まず、信頼できる人に話してみる
- 少し家事をお休みして、ゆったり過ごす時間をつくる
- 必要なサポートを遠慮なく受け取る
誰かを頼ることや、自分のための時間をつくることは、決して「甘え」ではありません。
支援の手は意外と身近にあります。遠慮なく、利用しましょう。
子どもにとって一番大切なのは、ママやパパの存在です。
ママやパパと過ごす空間が安心できるものになることで、子どもはより成長していくことができます。
子どものことと同じくらい、ご自身のことも大切にしてくださいね。
療育とは子ども一人ひとりの力を引き出すサポート
療育とは、発達に課題のある子どもや障害のある子ども、その可能性がある子どもに対して、身体的・精神的な発達を促し、日常生活や社会生活がスムーズに送れるようにサポートすることです。
ここでは、保育園や幼稚園と療育との違いや、相談先などについてお伝えします。
発達の不安を感じたら?|保健センター・発達相談など相談先の流れ
子どもの発達に不安を感じた時、相談できる場所はいくつもあります。
まずは一人で悩まず、身近な相談先を利用することが大切です。
- 乳幼児健診
- 地域の保健センター
- 市区町村の子育て支援課
- 子ども家庭支援センター
- 児童相談所 など
どこに相談すればいいのか迷う場合は、まずは身近な保健センターや小児科、子育て支援センターで相談してみましょう。
相談内容によっては、より専門的な機関や医療機関を紹介してもらえます。
多くの自治体では以下のような流れで相談・支援につながることができます。
- 【相談】保健センターや子育て支援課に相談
- 【面談・観察】発達の様子を確認(発達検査・相談員の聞き取りなど)
- 【紹介(必要に応じて)】療育施設・児童発達支援事業所・医療機関などへ案内
- 【支援開始】個別の計画に沿って療育がスタート
相談したからといって、必ず発達検査や療育につながるわけではありません。
「相談するほどではないかな…」と迷っていても、少しでも気になることがあれば、安心して早めに相談してみてください。
勇気を出して相談したのにもかかわらず、逆に悩みが深くなったり、ママやパパが傷つくようなことを言われてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、「やっぱり私がいけないのかも」「誰もわかってくれない」と悩まずに、別の人や機関に相談してみてください。
必ず、あなたの不安な気持ちに寄り添ってくれる人がいるはずです。
保育園や幼稚園との違い|子どもに合わせた個別支援が中心
保育園や幼稚園は、集団生活を通して生活習慣や社会性を育てることが主な目的です。
一方、療育は一人ひとりの発達状況や困りごとに合わせて、自立や社会参加を目指すための専門的な支援や指導を行うことが目的です。
療育には、大きく分けると「個別療育」と「集団療育」があり、様々な専門的アプローチが行われます。
たくさんの療育を受けることがより良い成長につながるわけではありません。
療育の内容・方針は場所によって様々です。
複数の療育へ通うことで、子どもも親も混乱してしまう可能性があります。
療育先を決める際に大切なことは、子どもの性格や特性・発達に合った場所を選ぶことです。
また、通うにあたって家族の負担の大きさや、ママやパパが安心して子どもを任せられる雰囲気があるかどうかも重要です。
「どこの療育が子どもに合うのかわからない…」と不安に感じる人も多いです。
そんな時は、いつも一番近くでお子さんを見ているママやパパの直感こそが、療育先を選ぶうえで何より大切なヒントになります。

家庭と療育の連携が大切|“できた”を一緒に育てていく関係づくり
家庭と療育が連携することで、子どもは安心できる環境の中で学びを深めやすくなり、生活スキルや社会性の向上にもつながります。
保護者も、療育を通じて子どもの特性への理解が深まり、声掛けの仕方や接し方のコツが少しずつ身についていきます。
それによって子どもはより安心感をもちやすくなり、親子の信頼関係が育まれていくのです。
家庭と療育がしっかり連携することで、子どもの様子や課題を共有しやすくなり、適切な支援や対応を一緒に考えることができます。
困った時にいつでも相談できる場所がある安心感は、ママやパパにとって大きな支えになります。
さらに、グループ療育の場では、同じような悩みや不安を抱える保護者同士でつながれることも大きな魅力です。
私が勤めていた療育施設でも、進級や進学、食事、着替えといった日常の話題で保護者同士がいつもにぎやかに交流していました。
悩みを共有したり、何気ない雑談をしたりすることで、「一人じゃない」と感じて気持ちが軽くなる。そんな姿を何度も目にしてきました。
まとめ|発達特性・発達障害で悩むママ・パパへ伝えたいこと
子どもの特性に気づいた時、どう向き合えばいいのか戸惑う気持ちは、誰にでもあるものです。
「このままで大丈夫かな」「将来困らないかな」そんな不安が浮かぶのも、子どもを大切に想っている証です。
「今できることに目を向けること」
「小さな”できた”を積み重ねていくこと」
それが、子どもの未来への力につながっていきます。
ママやパパだけで頑張らなくて大丈夫。
専門機関や周りの人と一緒に、子どももママやパパも安心して過ごせる環境を整えていきましょう。
コメント