「妊娠中でも温泉旅行に行っていい体調が悪くなったりしない?」
「温泉は衛生的に大丈夫?」
妊娠中の温泉旅行に不安や迷いを感じている人も多いのではないでしょうか。
今回は、実際に300人の妊婦さんの声をもとに、温泉旅行に行くときに気をつけるべきポイントや体験してよかったこと、不安に感じたことをまとめました。

かつて温泉法では「妊娠中」が禁忌症とされていましたが、平成26年の法改正により削除されました。一部の研究では、「定期的な温泉入浴が産科トラブルを減らす可能性もある」と報告されています。
温泉旅行を安心して楽しむための工夫や注意点を、体験談とともにお届けします。


330代、フルタイムで働く理系ワーママ。夫と2歳の息子と3人暮らし。メーカーでの開発経験を経て、現在は研究所でリサーチ業務に携わっています。
温泉水の分析を行っていたこともあり、水や環境への関心も◎
育児・仕事・自分時間のバランスをとりながら、心地よく暮らせるように模索中です。
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300人の妊婦さんに聞いた!温泉旅行に行った人はどれくらい?
妊娠中の旅行や温泉に不安があるとき、周りのリアルな声が参考になることもありますよね。
ここでは、温泉旅行を考えた人・行った人の割合や、行った時期の傾向をご紹介します。
実際に「行くことを考えた?」「行った」人の割合は?
実際に妊娠中の温泉旅行を「考えたことがある」と答えた人は40.7%。
「実際に行った」と回答した人は、全体の34.3%でした。



行きたいと思った人の大半が、実際に温泉旅行に行っているようです。
何ヵ月ごろに行った?(妊娠時期別の傾向)
妊娠2ヶ月から10ヶ月までの期間別に、妊婦さんが温泉旅行に行った人数を集計しました。
安定期にあたる5〜7ヶ月頃から温泉旅行を検討する方が増え、8ヶ月にピークを迎えています。
妊娠初期は控える傾向が強く、後期に入ると再び少なくなる様子がわかります。



比較的体調が安定している妊娠中期に行くことをおすすめします。
無理のない範囲で、かかりつけ医と相談しながら予定を立ててみてくださいね。
温泉旅行中に気をつけたこと・工夫したこと(自由記載より)
温泉旅行を楽しむためには、妊娠中ならではの配慮や工夫も大切です。
実際に温泉旅行を経験した妊婦さんからは、「お湯の温度に気をつけた」「宿泊先を慎重に選んだ」など、さまざまなリアルな声が寄せられました。
湯温・入浴時間について気をつけたこと
15週くらいで行きました。長湯しないように気をつけました。(タイミング法・30代女性)
30週頃行ったのでもうすぐ臨月だったこともあり転ばないように注意したり温度も熱いのでのぼせないように短時間で済ますなど気をつけた(自然妊娠・20代女性)
34週で温泉に行き、手すりにしっかりつかまり熱すぎないかを確認し、短めに入浴した。(自然妊娠・20代女性)



41度以上の高温の湯・15分以上の長湯は避けましょう。
宿泊先・移動手段の選び方
妊娠20週と35週で行きました。人目が気になるのと、何かあったら大変なので貸切の家族風呂を予約して温泉を楽しみました。(自然妊娠・30代女性)
妊娠22週で自宅から車で30分程度の場所へ行きました。
温泉付き客室に宿泊し、不特定多数の人と同じ湯に浸かることは避けました。(人工授精・30代女性)



なるべく自宅から近い宿泊先を選びたいですね。
体調管理・事前に準備しておいてよかったこと
8ヶ月、階段の上り下りや水分補給を気をつけました。(人工授精・20代女性)
何度か行きましたが、妊娠30週くらいでも行った記憶があります。
妊婦が入ってはいけない温泉成分がないか慎重に確認してから入りました。入れない成分もあったので残念に思いました。(自然妊娠・20代女性)



温泉によっては、成分が妊婦さんの体に負担をかけることもあります。
入浴前の確認が大切ですね。
妊婦さんが感じた「温泉旅行のメリット」とは?
「妊娠中の温泉旅行に行っても大丈夫かな?」と心配になることもありますが、実際に行った妊婦さんたちからは前向きな声もたくさん集まりました。
特に多かった声が下記の3点です。
- リラックス・リフレッシュ効果
- むくみ・腰痛・冷えへのケア
- 今しかできないことを楽しむ
実際に温泉旅行に行って人の声をお伝えします。
心と体がほぐれる「リラックス・リフレッシュ効果」
広々とした空間で開放感もあり、心身ともにリラックス効果がある(自然妊娠・20代女性)
出産前最後のリフレッシュになったので行って良かったと思っている
リラックスすることもできて良かった
ただし近場に病院があるところに限る(自然妊娠・20代女性)



お湯にゆっくり浸かるだけでほっと一息つけますよね。
いつもとは違う非日常感がリフレッシュになります。
体の不調がやわらぐ「むくみ・腰痛・冷えへのケア」
身体を温めることで下半身のむくみを改善できました。(自然妊娠・30代女性)
腰の痛みが和らいだりリラックスできました。ただ無理は良くないと思います。(自然妊娠・20代女性)
身体がしんどい時でなければ温泉に行きました。
冷えがちな末端も温まるので気分転換できます。(タイミング法・20代女性)



妊娠中は水分を体に溜め込むため、むくみやすいです。
血流を良くすることで、様々な不調へのケアになりますね。
「今しかできないことを楽しみたい」という前向きな気持ち
リラックスできるし、妊娠中は制限が多すぎるので、妊娠中でも、自分の気持ちが上向くことをしたかった
産後すぐには出来ないことを今しときたいという気持ちもあったので、温泉で満足度はあがった(自然妊娠・30代女性)
出産から1か月は湯船につかれないので、今のうちにゆっくり温泉や湯船につかろうという気持ちでリラックスしていました。(タイミング法・20代女性)
もともと温泉や半身浴が大好きで、出産後は忙しくて無理だと思ったから、むしろ妊娠中の今こそゆっくり入っておこうという気持ちだった(自然妊娠・30代女性)
妊娠中の温泉旅行には、「リラックスできた」「体が楽になった」など、たくさんのポジティブな声が寄せられました。
心と体をいたわりながら、自分らしく過ごせる時間は、妊婦さんにとって大きな癒しになっているようです。
妊婦さんが気になる「温泉旅行の不安」とは?
アンケート結果から、実際に温泉旅行に行った経験のある人は、行かなかったと答えた人よりも温泉旅行への不安が少ないことがわかりました。
妊婦さんは主に下記の3点について不安を抱いていました。
- 衛生面・感染症リスクへの不安
- 転倒・のぼせなど安全面の心配
- 周囲の目線やメンタル面の負担
実際にあった温泉旅行に対する不安の声を紹介します。
衛生面・感染症リスクへの不安
旅行に行った人を含めて、39人(11.8%)が感染症、14人(4.24%)が衛生面が気になるという結果でした。
衛生的に大丈夫か不安になりながら入ったのであんまりリラックスはできなかった(自然妊娠・30代女性)
温泉に入ることは問題ないと思うが、感染症を考えると、少し不安な気持ちになる。(自然妊娠・20代女性)



旅館のお風呂などの公衆浴場は、法律に則ってしっかり管理されています。
記事後半で詳しくご紹介しますね。
転倒・のぼせなど安全面の心配
妊娠中の温泉旅行で転んだりのぼせてふらついたりすることで赤ちゃんへのリスクにつながるので心配ですよね。
実際に、転倒の心配をした人が37人(11.2%)、のぼせの心配をした人が17人(5.15%)いました。
基本的に大丈夫だとは思うが、滑って転倒や走ってきた子供にぶつかる等のリスクは気をつけないといけないと思う。(自然妊娠・30代女性)
妊娠中はのぼせやすいので、のぼせてしまったり、入浴中めまいがおきたり、足元が滑って転倒したりと、妊娠していない状態に比べて不安が多い。(自然妊娠・30代女性)



長くつかりすぎないように気をつけたり、移動のときはいつもよりゆっくり行動したりすると、より安心して過ごせますよ。
周囲の目線やメンタル面の負担
妊娠中はお腹がどんどん大きくなり体の変化から周りの目が気になる人もいます。実際に12人(3.63%)が周囲の目線が気になったと回答していました。
周りにも目がむけられてしまうかんじがして逆にストレスがたまりそうだった(自然妊娠・20代女性)
大浴場は人の目も気になるので、部屋付きの温泉であればゆっくりリラックスできそう(体外受精・30代女性)
温泉旅行は心身のリフレッシュになる一方で、妊娠中ならではの不安や注意点もたくさんあります。
人の多い大浴場を避けて内風呂や貸切風呂を利用したり、空いている時間帯を狙って入浴すると、少しでも不安を減らすことができそうですね。
温泉旅行中に感じたトラブル・不調はあった?
温泉旅行で気になるのは体調への影響ですよね。
アンケートでは、温泉旅行そのものでは大きなトラブルは報告されていないものの、日常の入浴中に体の変化を感じた方は一定数いました。
よくあるトラブルや体調不良の症状と、妊娠中の入浴の注意点を解説します。
妊娠中の温泉と妊娠中の不調・トラブルは関連性があると思う人の割合
アンケートでは、「温泉と妊娠中の不調には関連がある」と感じた人が18.0%という結果になりました。
過半数には届かないものの、一部の妊婦さんは「温泉が不調のきっかけになるかも」と不安を感じていたことがわかります。
1位|めまい・立ちくらみ
もっとも多かったのは「めまい・立ちくらみ」で、約19.2%の方が不調としてあげています。
妊娠中は血圧の変動が起こりやすく、温浴による血行の変化でふらつきを感じることもあるようです。
2位|のぼせ・ほてり
「のぼせ・ほてり」は14.3%の方が経験しています。
妊娠中は体温が上がりやすいため、熱めの温泉や長風呂には特に注意が必要です。
3位|動悸
「動悸」を感じた方は9.6%でした。
心拍数が自然と上がりやすい妊娠中は、湯温の影響で心臓に負担がかかることもあるのかもしれません。
3位|息苦しさ
「息苦しさ」も9.6%の人が回答しています。
湯気で湿度の高い浴室では、呼吸がしづらくなることがあるため、換気や短時間の入浴を意識したいですね。
3位|お腹の張り
「お腹の張り」を感じた人も9.6%と、他の不調と同程度にあげられています。
温浴で血行が良くなる反面、体調によっては張りやすくなることもあるようです。
特にめまいやのぼせといった血行や体温に関わる不調には注意が必要です。
妊娠中は体調の変化が起きやすいため、「無理せず・短時間で・しっかり水分補給」を意識して、安心して入浴の時間を楽しみましょう。
温泉の衛生管理で行われる4つの主な水質検査項目とは?
温泉には衛生面での管理が義務付けられています。(出展:公衆浴場法)
具体的には、公衆浴場(旅館や銭湯など)において、厚生労働省の基準に基づいて行われる以下の4つの項目です。
レジオネラ属菌
土や水の中にいる菌で、免疫力が低下している人が吸い込むと肺炎を起こすリスクがあります。
ニュースでも「旅館の浴槽から検出されました」などと見かけることがあります。
過マンガン酸カリウム消費量
温泉水にどれくらい有機物(=汚れ)が含まれているかを見る指標です。
大腸菌群
塩素消毒が適切に行われているかのチェック項目です。
濁度(だくど)
お湯の濁り(にごり)具合を数値化したものです。
温泉施設では、基準に沿って水質の検査や衛生管理がしっかり行われています。
中でもレジオネラ属菌が見つかった場合は、すぐに浴場の利用を中止して洗浄作業が行われるため、大きなリスクになる前に対処される仕組みです。
その他の検査項目もお湯の清潔さを確認するための目安なので、通常利用であればそこまで神経質にならなくても大丈夫でしょう。
検査の頻度や結果の取り扱いは施設によって違うため、気になるときは施設の人に聞いてみると安心です。
温泉水質の種類と妊婦さんが気をつけたい泉質とは?
温泉にはさまざまな「泉質」があり、体に与える影響もそれぞれ異なります。
体にやさしいものもあれば、妊婦さんにとっては刺激が強すぎるものもあります。
ここでは、代表的な泉質とその特徴、妊娠中に避けたい泉質、入りやすい泉質などをまとめました。
塩化物泉・硫黄泉など泉質の違いと身体への作用
- 塩化物泉:お湯がしょっぱく、体の保温効果が高い。乾燥肌の保湿にも◎
- 硫黄泉:独特のにおいがあり、殺菌効果が高い。美肌効果が期待される一方で、刺激が強い場合も。
これらは日本の温泉でよく見られる代表的な泉質ですが、体調によっては注意が必要です。
妊娠中に避けたい泉質|刺激が強い・皮膚トラブルの可能性も
- 酸性泉:強い殺菌作用があり、湿疹や皮膚病に効くと言われていますが、肌への刺激が強いため妊婦さんにはあまりおすすめできません。
- 含鉄泉:鉄分が多く、体を芯から温めてくれる泉質ですが、においや色、金属刺激が苦手な人には不向きです。
体調や肌の状態によっては刺激が強く感じることがあるため、なるべく刺激の少ない泉質を選びましょう。
妊婦でも入りやすい泉質とその選び方
- 単純温泉:成分が薄く、刺激が少ないため妊婦さんにもやさしい泉質。旅館やホテルの多くで見かける泉質です。
- 炭酸水素塩泉:美肌効果があり、やわらかなお湯。乾燥肌が気になる妊婦さんにもおすすめ。
これらは体への負担が少なく、おだやかに温まることができるため、妊婦さんでも比較的安心して楽しめます。温泉地選びの際は、泉質にも目を向けてみましょう。
また、不安なときは事前にかかりつけ医に相談しておくことがおすすめです。
安心な温泉旅行にするために!妊娠中の温泉入浴に関する基本知識
せっかく温泉旅行に行くなら、安心して行きたいですよね。
そのためにも、妊娠中の温泉入浴について基本的な部分を抑えておきましょう!
推奨される湯温・時間の目安(38〜41℃・10分以内)
42℃以上の湯温は、血圧を急激に上げる可能性があります。(出展:オムロン)
また、妊娠中は血流が多くなっているため、普段よりものぼせやすい状態です。
半身浴でもめまいや貧血を起こす場合もあります。
避けた方がよい条件とは?
- 一人での入浴を避ける
転倒や体調不良など、何かあった時にすぐに対応できるよう、旦那さんやご家族と一緒に入るようにしましょう。
- 水分補給をしっかりとる
脱水症状にならないように、入浴前にはコップ1杯のお水を飲むことが大切です。
- 空腹・食後すぐは避ける
空腹の状態で入浴すると、めまいや脱水症状を起こしやすくなります。
また、食後は1時間ほど空けて胃を休めてから入るのがおすすめです。
かかりつけ医に相談する重要性
温泉旅行に行く前に、まずしておきたいのが「かかりつけ医への相談」です。
妊娠中は一人ひとりの体調や経過が異なるため、
「一般的にはOK」でも、あなた自身の体には注意が必要なケースもあります。
たとえば、下記の場合は温泉旅行そのものを控えた方がよいかもしれません。
- 切迫早産や出血などのトラブルがあったことがある
- 高血圧や貧血がある
- 妊娠初期や臨月で体調が不安定になりやすい
「近場の1泊だけだけど大丈夫かな?」といったちょっとした不安も、
かかりつけの先生に相談すれば安心して計画が立てられます。
安全でリラックスできる旅行にするためにも、まずは医師のひとことをもらっておくのがおすすめです。
温泉旅行が不安な妊婦さんへ|先輩ママからのメッセージ
自分の体調や心の状態に合わせて無理をしないことが大切だと思う。(25歳・自然妊娠)
体に負荷をかけないのが一番だが、生まれてからはしばらく入れないので、無理のない範囲で楽しんでほしい。(32歳・自然妊娠)
あまり神経質になる必要はないです。心配であれば医師に相談しましょう!(29歳・自然妊娠)
お腹を冷やさないことが大事だと思うのでお風呂から上がったら冷やさないように気をつけてください!また、後期は思ってもみないところで転びます。水場は滑りやすいので温泉等行かれる際は十分お気をつけ下さい(25歳・自然妊娠)
妊娠中の温泉旅行に対する不安は少なくありませんが、先輩ママたちの声からは「自分に合った過ごし方を選べば、穏やかに楽しめる」という前向きなメッセージが伝わってきました。
体調を第一に、無理せず、自分らしいペースで旅を楽しんでくださいね。
不安なことがあれば、遠慮なく医師に相談しながら、安心できる選択をしていきましょう。



何かと気を張ることが多い妊娠中に、少しでもほっとする時間を取れると良いですね。
まとめ|妊娠中の温泉旅行を安心して楽しむために
- 体調に合わせて無理のないスケジュールで
- 温泉の種類・環境・入り方に配慮しよう
- 不安があるときは行かなくてもOK!自分と赤ちゃんを第一に
今回のアンケートでは、「気分がリフレッシュできた」「今しかできないことを楽しめた」など、温泉旅行を前向きに楽しんだ妊婦さんの声が多く寄せられました。
特に、体調が比較的安定する妊娠中期に行った人が多かったのも印象的です。
ただし、高温のお湯や長時間の入浴は避けて、10〜15分ほどを目安にゆっくり浸かるようにしましょう。泉質は刺激の少ない「単純温泉」や「炭酸水素塩泉」などを選ぶと安心ですね。
大切なのは、体調を最優先に、無理のないスケジュールにすることです。
「ちょっと不安かも…」と思ったら、無理して行かなくても大丈夫ですよ。
まずはかかりつけの医師に相談して、自分と赤ちゃんにとってベストな選択をしていきましょう。
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